橋水基金創始者のダリオは最近、米連邦準備制度理事会（FRB）がバランスシート縮小（QT）を停止するタイミングは非常に微妙だと警告しています。なぜか？今と2008年当時は全く異なる状況だからです。

パウエル議長は「適切なタイミングで準備金を再拡充する」と述べていますが、これは穏やかに聞こえます。しかし、ダリオはこれを直接指摘し、実質的には量的緩和（QE）が復活しようとしていると示唆しています。問題は、前回の金融緩和は景気後退を救うためだったのに対し、今回はすでに市場が膨張しきった状態で再び資金供給を行おうとしている点です。

さらに厄介なのは財政面の操作です。政府は巨額の債務を抱えながらも、赤字を埋めるために大量の国債を発行し続けています。もしFRBがこのタイミングで国債を買い続けるために量的緩和を再開すれば、それは単なる市場への流動性供給ではなく、政府の借金を間接的に肩代わりする行為になりかねません。これはまるで新たな借金を返すために旧借金を重ねるポンジスキームのような状況です。

ダリオはこのシナリオを1999年に例えています。当時、ナスダックのバブル崩壊直前に市場は一時的に流動性の狂騒を経験しました。歴史はまた韻を踏むのか？この問いはすべてのトレーダーにとって深く考えるべき課題です。