純資産価値の計算方法:割安株を見つけるための重要な指標

▶ 計算方法:すべての基礎

株式が割安か割高かを理解するためには、まずその純資産価値を知る必要があります。計算式は驚くほどシンプルです:

純資産価値 = 総資産 - 総負債

これを個別の株式に適用すると、企業が発行した株式数で割ります:

1株当たり純資産 = (資産 - 負債) / 発行済株式数

実例を見てみましょう。仮に「ABC」という会社が資産3,200百万ユーロ、負債620百万ユーロ、発行済株式数12百万株を持っているとします。計算は次の通りです:

1株当たり純資産 = (3,200,000,000 - 620,000,000) / 12,000,000 = 215ユーロ/株

この数字は、企業の実質的な資産のうち、あなたが所有している株式一枚に相当する部分を示しています。

▶ 純資産価値は実際に何を意味するのか?

この概念について話すとき、私たちは企業が所有し、実際に株主に属している資産を指します。これは、最初の資本金に加え、配当として分配されていないすべての留保利益を合計したものです。

面白いのは、この指標が株式の額面価値と根本的に異なる点です。額面価値は静的で、発行時に決定され、最初の資本金のみに基づいています。一方、純資産価値は動的であり、企業の現時点の財務状況を反映しています。

投資の世界では、「簿価」とも呼ばれ、value investingの戦略において特に重要な呼称です。このアプローチは、簿価が現在の株価よりも著しく低い企業を見つけ出し、割安な価格で堅実なビジネスを買収し、市場が最終的にその真の価値を認めることを期待します。

● 会計と市場の現実のギャップ

ここで避けて通れない質問:なぜ株価はしばしば純資産価値と乖離するのか?

答えは、市場価格が会計帳簿が無視している要素を含んでいるからです。投資家は、企業が今日所有しているものだけでなく、明日所有し、生成すると期待されるものに基づいて投資します。市場の強気の感情、特定セクターへの好み、将来の成長期待など、これらすべての要素が株価に影響し、帳簿には記録されません。

例えば、純資産価値が15ユーロの株式が34ユーロで取引されていることはよくあります。この場合、市場はその企業に対して127%のプレミアムを支払っていることになります。

▶ P/簿価比率:過大評価と過小評価の解読

これら二つの世界をつなぐツールが、価格/簿価比率 (P/VC)です。これは、現在の市場価格を1株当たり純資産価値で割ることで計算されます:

P/VC = 株価 / 1株当たり純資産

解釈はシンプルです:

  • P/VC > 1:株式は簿価に比べて高い(相対的過大評価)(過大評価)
  • P/VC = 1:株価と簿価が一致
  • P/VC < 1:株式は簿価に比べて安い(相対的割安)(割安)

比較のために二つの企業を見てみましょう。仮に「ABC」の簿価が26ユーロ、株価が84ユーロの場合、P/VC = 84/26 = 3.23。一方、「XYZ」の簿価が31ユーロ、株価が27ユーロの場合、P/VC = 27/31 = 0.87

これらの数字は、ABCがかなり過大評価されている一方、XYZには割安の可能性があることを示唆しています。ただし、投資においては、これらの指標はあくまで出発点であり、最終的な結論ではありません。

● 無形資産が重要になる場合

純資産価値には重要な制約があります。それは、有形資産(機械、建物、在庫)だけを考慮し、ほとんど無形資産(ブランド、特許、ソフトウェア、知的資産)を無視してしまう点です。

これにより、特定のセクターでは大きな歪みが生じます。例えば、ソフトウェア企業は、2百万ユーロを投じて開発したプログラムがあっても、そのコストは帳簿上控えめに記録されることが多いです。しかし、そのソフトウェアが年間50百万ユーロの売上を生み出している場合、その無形資産の実際の価値は、会計が示すよりもはるかに高いことになります。

そのため、テクノロジー企業は一般的に、P/VC比率が産業平均を大きく上回ることが多いです。これは必ずしも過大評価を意味しません。むしろ、この分析ツールは、主な資産が物理的なものではなく知的財産であるセクターでは効果が薄いことを示しています。

● 小型株はモデルから外れる

もう一つ、純資産価値の有効性が低いのは、小規模または新興企業のケースです。これらの企業は、簿価が最小限であっても、将来の潜在性によって評価されます。例えば、テクノロジースタートアップは、1株当たりの純資産が5ユーロでも、市場は45ユーロと評価していることがあります。両者とも正しい評価であり得ます。なぜなら、企業が成長の約束を実現すれば、その価値は大きく変わるからです。

▶ 注意すべき制約

有形資産以外にも、重要な批判点があります。その一つは、創造的会計による帳簿操作の可能性です。合法的な手法で、資産を過大計上し、負債を過小計上することで、結果を誤った方向に操作することが可能です。

スペインのBankiaの事例は、この脆弱性をよく示しています。2011年に株式上場したとき、帳簿価値に対して60%の割引価格で取引されており、非常にお得に見えました。しかし、その数年後、同銀行は壊滅的な業績を示し、2021年にCaixaBankに吸収合併されました。純資産価値は、この結果を予測できませんでした。なぜなら、資産の劣化やシステミックリスクへの露出といった重要な情報が、数字に正確に反映されていなかったからです。

▶ 純資産価値のファンダメンタル分析における役割

株式分析の世界には、主に二つのアプローチがあります:テクニカルとファンダメンタル。

テクニカル分析は、過去の価格パターンに基づき、サポートラインやレジスタンス、売買シグナルを探します。一方、ファンダメンタル分析は、企業の実態経済を調査します:財務諸表、キャッシュフロー、競争優位性、マクロ経済環境。

この最後の枠組みの中で、純資産価値は重要な要素ですが、唯一のものではありません。現在の財務の堅実さを示すアンカーとして役立ちますが、将来の展望、持続可能な競争優位、経営の質、セクターの動向といった要素と併せて考える必要があります。

▶ 投資戦略に役立つ実践的な結論

純資産価値は、強力ながらも不完全な指標です。これを計算し、P/VC比率を用いて解釈することは、分析ツールの幅を大きく広げます。特に、value investing戦略で投資する場合には有効です。

ただし、この数字はあくまで過去の状況を反映したものであり、特定の瞬間に記録されたものです。しばしば、価値のある無形資産や隠れた劣化を見落としがちです。したがって、これを唯一の投資判断の根拠とせず、補助的な指標として利用してください。

真のチャンスは、厳密な会計分析と、各企業の実際の競争力の調査を組み合わせたときに生まれます。P/VC比率が低くても競争力が弱い株は、やはり投資に適しません。一方、これらの数字で高く評価されていても、持続的な優位性を持つ企業は、絶好の投資機会となり得ます。

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