中央銀行政策の転換週!円とユーロの動きが分かれる、後半のドルの動きが注目される

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外為市場一週振り返り

先週(12/8-12/12)の市場動向は顕著に分かれました。ドル指数は0.60%下落し、非米通貨の動きはまちまちでした。中でもユーロは0.84%の大幅上昇、ポンドは0.34%上昇、豪ドルは0.18%の小幅上昇、円は0.29%下落しました。

FRBの政策転換、ユーロの強さは持続するか?

先週のユーロ/ドル(EUR/USD)は0.84%上昇し、その背景にはFRBの政策シグナルの変化があります。

FRBは予定通り25ベーシスポイントの利下げを実施し、同時に準備金管理購入(RMP)プログラムを開始、毎月400億ドルの短期国債を購入しました。これは量的緩和(QE)の前奏と理解されています。さらに、パウエル議長の態度が比較的穏やかだったこともあり、ドル指数は2日連続で下落しました。

注目すべきは、最新のドットチャートでは2026年に利下げは1回のみと予測されていますが、市場は依然として来年に2回の利下げを見込む見方が一般的です。この意見の相違が、後半のドルの動きの重要な変数となる可能性があります。

【図源:CME FedWatch Tool】

今後のEUR/USDの方向性を判断するには、2つのポイントに注目する必要があります:アメリカの11月非農業雇用者数と12月18日の欧州中央銀行(ECB)の決定です。市場はECBが金利政策を維持すると予想していますが、注目はラガルド総裁のハト派またはタカ派の姿勢や、最新の四半期経済予測における金融政策の示唆にあります。

モルガン・スタンレーは、米欧の金融政策の継続的な分化の中で、EUR/USDは2026年第1四半期に1.23を突破する可能性があると予測しています。

今週の注目ポイント

  • ECBの金利決定は12月18日に発表
  • 米国の11月非農業雇用者数が重要なきっかけとなる
  • 非農業雇用者数が予想を下回れば、EUR/USDはさらに上昇しやすく、逆に予想を上回れば調整圧力がかかる可能性

テクニカル分析

EUR/USDは既に100日移動平均線を維持しており、RSIやMACDも強気の勢いを示しています。上昇目標はまず1.18、突破後の抵抗線は過去高値の1.192です。ただし、高値から下落した場合は、サポートラインの100日移動平均線の1.164付近を維持する必要があります。

【図源:TradingView;EUR/USDのチャート】

日本銀行の利上げ開始間近、円の展望は不透明

先週のドル/円(USD/JPY)は0.29%上昇し、市場は日本銀行の2026年の利上げサイクルの影響を消化しています。

12月19日に日本銀行は最新の金利決定を発表し、市場は25ベーシスポイントの利上げ(0.75%)を予想しており、30年ぶりの高水準となる見込みです。

【図源:Tradingeconomics;過去3年の日本の金利】

利上げ予想はすでに価格に織り込まれており、市場の焦点は、植田和男総裁の今後の利上げペースに関する発言に移っています。特に、「中立金利」の定義に関する彼の見解が注目されています。

野村證券は、植田総裁が中立金利について曖昧な表現を維持し、政策調整の柔軟性を確保する可能性が高いと予測しています。今回の決定は、市場の予想よりもタカ派的なシグナルを出すのは難しいと見られます。

米銀の分析によると、日本銀行が「ハト派的な利上げ」を示す場合、ドル/円は高水準を維持し、来年初めには160円に迫る可能性もあります。ただし、「タカ派的な利上げ」シグナルを出した場合、円売りの巻き戻しが起き、ドル/円は150付近に下落する可能性があります。ただし、このシナリオの確率は比較的低いと考えられます。

今週の注目ポイント

  • 日本銀行の会合は12月19日に開催
  • 米国の非農業雇用者数も円相場に影響
  • 日本と米国の金融政策のいずれかの調整は、ドル/円の動きに直接影響を与える

テクニカル分析

ドル/円はすでに21日移動平均線を下回っており、引き続き圧力がかかると、その下のリスクが高まります。サポートは153付近に注目。逆に、再び21日移動平均線を上抜ければ、抵抗線は158を目指します。

【図源:TradingView;USD/JPYのチャート】

展望:後半のドルの動きは中央銀行の政策分化次第

今週は中央銀行の決定が集中し、政策の分化が後半のドルの動きの構図をさらに形成する可能性があります。欧州中央銀行の政策予想、日本銀行のタカ派度合い、FRBの利下げ予想の相互作用が、為替市場の主要な推進力となるでしょう。

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